お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2016.11.18

お火焚きさん

ohitaki
11月になると、京都のお菓子屋さんの店先には紅白の小判型のまんじゅうが並びます。

お火焚きさんのおまんと京都の人が呼ぶお火焚きまんじゅうです。餡はこし餡、まんじゅうの上には大きく火焔宝珠の焼印が押してあります。

お火焚きさんとはお火焚き祭のことで、11月に入ると京都では毎週のようにどこかの神社で行なわれる神事、その由来は宮中で秋 収穫に感謝して行なわれる新嘗祭にあるとか。

収穫の秋を迎えて自然の恵みに感謝するとともに、やがてやってくるきびしい冬に欠かせない火の恵みに感謝をこめて、人々が願いごとと書いて納めた護摩木を燃やす神事、かつては神社だけでなく一般の家庭の庭先でとか町内とか、又、火を扱うお店や工場でもよく行なわれていたのです。

お火焚きまんじゅうは、このお火焚き祭に神様への新米と共にお供えして、神事のあとはおさがりとして配られたおまんじゅうなのです。

ほとんど京都だけの行事なので、お火焚きまんじゅうは京都観光の人にはとてもめずらしがられるそうです。

一般家庭でも行なわれていたお火焚きさんの行事は、秋の落葉がゴミ袋につめられて捨てられるように、火が燃やせなくなったこともあって、今ではほとんど神社の神事として行なわれるようになっているのです。

このお火焚き祭の中でも、最も大きいものは伏見稲荷大社のお火焚き祭。今年一年間の収穫に感謝するため、神田でとれた稲のわらを燃やし、田植の頃に山から降りてきて恵みをもたらしてくれた神を山に送ります。
その時に一緒に全国からよせられる五穀豊穣、無病息災、家内安全などを願う10万本をこえる火焚き串と呼ばれる護摩木を高く積みあげ燃やすのです。

お火焚きさんが終わると冬。
初冬の空に大きく立ち登る炎は京都に本格的な冬の訪れを知らせる風物詩でもあるのです。

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