きごしょうは京都の夏から秋口に食卓に登場するおかずです。きごしょうとは、とうがらしの葉のこと。葉とうがらしとも呼ばれます。
暑い京都の夏の食卓には、とうがらしがよく登場します。今では、とうがらしも万願寺とか伏見とうがらしとかブランド化していますが、かつては青と呼ばれ、とうがらしといっても辛くなく、焼くとか独特の青い香りのあるものの、味はあるかないかの微妙。焼いて少しこげ目のついたところに生醤油をかけていただく極めてシンプルなしかし、暑い夏の京都にふさわしい食べものなのです。
そういえば京都では、夏になるとソーメンもよく食べられますが、これもさっぱり感とのどごしを味わう点では似ているのかもしれません。
ただとうがらしは、ときどき辛いのがまじっていて子どもには、きわめてスリルのある食べ物だったのです。
こうして夏の間おかずとして京の食卓に登場した青とはビタミンも豊富で以外と理にかなった食べものでもあったのです。
この青と、秋口になると次第に実がつかなくなってきます。農家では、次の野菜を植えるために大きく成長したとうがらしの茎を根から抜きます。
その枝にはまだ葉っぱがいっぱいついています。これがきごしょう。
京都ではデパートでもさすがに短く切ってはありますが、葉のついた青との枝が売られます。
夏の間あれほど世話になった青と。実がならなくなったら、次は葉っぱまで食べつくすというちょっと残酷な気もしますが、おいしいものはとことん食べつくす京都ならではのたべものです。
枝についている葉っぱを一枚一枚、アクで指先を黒くしながらむしり、洗ってさっとゆがいてしぼり、しょうゆとみりん、お酒で煮ます。
薄い薄い青との葉っぱを煮るとほんの少しになりますが、とてもごはんのすすむ味です。
さっと薄味でみどり色が残るほどに煮たり、しょうゆをきかせて、黒くなるまで煮ると保存のこくたべものにもなります。味は実と同じようにあるようなないような、それでいておいしいというのが、きごしょうの味なのです。
きごしょうが食卓に登場するとさしもの京都の夏も終りを迎えます。