立ちのぼる炎は時おり思い出したようにゆれ、又じっとまっすぐ立ちのぼっています。
いつまで見ていても見あきることのない炎。炎というのは、焚火の炎であれ、マキストーブの中の炎であれ、なぜか人の心をとらえてはなさない不思議な魅力があります。
高さ3センチちょっとの手づくりの和ローソク、一見クレヨンをおもわせるカラフルなローソクのパッケージには、なぜかねずみを見張るネコが大きくデザインされています。
今、ローソクは大きく分けて、石油から精製されたパラフィンでつくられる西洋ローソクと呼ばれる一般的なローソクと、中世に始まった日本伝統のウルシやハゼの実からとった木蝋からつくられる和ローソクがあります。
和ローソクは植物由来の木蝋が原料とあって、ローソクを好物とするネズミを近づけないために、かつてローソクをつくるお店でネコの役割は大きかったとか。
このパッケージは、カラフルな和ローソクが植物性であることの証なのです。
ローソクは奈良時代に中国から仏教とともに伝えられましたが、このローソクは蜜蜂の巣からとれる蜜蝋を原料としたとても貴重なもので、明かりとしても宮殿や神殿、寺院などで儀式用として用いられてきました。
江戸時代となると木蝋の原料となるハゼの木の栽培が進み、外出用の提灯の明かりとして利用されるようになり、和ローソクは次第に普及していったのです。
和ローソクは、その明るさ、燃えてもススが出ない、炎でとけた蝋は芯から吸い上げられて燃えるために蝋がたれない香りがいいなどの理由で寺院などでは欠かせないものとされて、今日に至っていますが、昨今ハゼの木を栽培する人が減ったために、ライスオイルからつくる植物蝋も和ローソクの原料になっています。
このところ、ローソクがインテリアとして注目を集めるようになり、いわゆるキャンドルと違って植物性の和ローソクへの関心が高まり、このかわいい和ローソクも今、人気なのです。
いつの時代にも人の心をとらえてはなさない炎のふしぎなチカラが和ローソクの新しい時代をひらこうとしているのです。