秋の七草のひとつにあげられているナデシコは、カワラナデシコの別名です。
古くから日本に自生していたカワラダデシコは、その名の通り日当たりの良い河原などの草地を好みどこにでも見られる花でした。
近年家畜の飼料として草を刈ることもなくなり、又開発なども進んだためカワラナデシコの適地が少なくなり、今では絶滅危惧種に指定されている県がいくつもあるのです。
万葉集にもいくつも読まれているほど早くから鑑賞用として栽培され、江戸時代には変り花もたくさん生まれ、古典園芸植物のひとつにあげられていたカワラナデシコ。
漢字で書くと河原撫子、撫子とはその花の色 カタチがかわいく撫で撫でしたくなるほどかわいい子になぞらえた通り可憐な花はひろく時代をこえて愛されてきたことが伺えます。
ナデシコの仲間は世界にその種類も多いのですが、なんとあのカーネーションも南フランスにあるナデシコがその原種なのです。
英名はpinkの名前がある通り、ピンクの色名はこのナデシコの色からつけられたのですが、ヨーロッパでは、ピンクよりローズのほうが伝統的な色名で、ローズが使われることが多いとか
日本人に、早くから親しまれたて来たカワラナデシコは、生楽としても利用されてきた歴史があります。
花が咲いたころの全草を乾燥したものは瞿麦(くばく)、花の咲いたあとの種子を乾燥したものは瞿麦子と呼び、利尿、生理不順、血圧降下剤としても用いられてきました。
御地蔵や 花なでしこの 真中に 一茶
今、カワラダデシコは草むらにあってもポツンポツンと咲く花が見られるくらいですが、この旬が生まれ時代はもっとたくさん咲いていたのかもしれません。