梅雨の雨空の下、光景不足気味の庭の植込みの根本で淡い色ながら、あざやかなうす紫の花をつけるギボウシ。
ギボウシは梅雨の雨を好み梅雨に入ると、いつの間にかぐんぐん成長して茎を伸ばし、いくつもの花をつけます。
ユリ科のギボウシの花は、朝日と共に開いてお昼をすぎるとしぼんでしまう一日花。
しかし、たくさんついたつぼみが次々と花をひらくために、花の時期としては長いのです。
ギボウシの名は、そのつぼみが橋の欄干にある擬宝珠(ギボウシ)に似ているからという説がありますが、日本列島にひろく分布しているために各地でさまざまな呼び名があります。
春先には山菜として良く知られている「ウルイ」。「タキナ」と呼ばれるのは山の渓流の水の多いところで育つため。「ゲーロッパ」というのはギボウシの下は蛙が好むとされて名づけられたようです。
ギボウシは、中国、韓国にもありますが、日本ではその花の淡く端正な姿が好まれ園芸品種もたくさん生まれました。
さらに、江戸時代にケンペルによってヨーロッパ―に伝えられたギボウシはガーデニング用として注目を集め品種改良が進み今も人気の花だそうです。
おひたし、天ぷら、あえものなど春の山菜の中でも人気の高い「ウルイ」薬草としては生の華をすりつぶして腫れものに乾燥した花は利尿剤として、そして鑑賞用としても利用されてきたギボウシ。
梅雨が明けてもギボウシは緑の葉の色あざやかにして夏の間さわやかさを届けつづけるのです。
日本各地でさまざまな呼び名を持つほど一年を通して人々のくらしとともに生きてきたギボウシは今朝も花をつけています。