鳩時計のハトのように翼をひろげた小さな白いハトが花のまん中にちょこんといます。
これはランの花の一種で日本ではハトランと呼ばれていますが、世界でもPigeon Auchidと呼ばれパナマの国花となっています。パナマ コスタリカなど中央アメリカが原産。今、京都府立植物園でかすかな甘い香りを放って咲いています。
植物は地球上にコケなどを除いても20万〜30万種存在するそうですが、ランは地球の植物で最後に登場した植物といわれています。ランが登場した時代すでに地球上で植物が生育しやすい土地は先行した植物で占められ、ランに残されたスペースは岩の上とか木の幹など限られた場所しかありませんでした。
そこで一部のランが生きるためにとった方法が実にユニーク。
花粉を媒介してくれる昆虫との「共進化」だったのです。「共進化」とはその字の通り、異なった生物がお互いに関係しあって進化するという方法で、ランがパートナーにえらんだのは昆虫。
ランの花が実におどろくほどユニークなカタチのものが多いのもそのためなのです。
例えばランの花でもBee Auchidと呼ばれるランは雌の蜂そっくりのカタチで、雌蜂のフェロモンに似た匂いまで用意して蜂を呼びよせています。
しかしハトランは、なんのためにこんな小さなハトがついているのかはわかりません。造化の神様の気まぐれにしては、黄色のクチバシまでついているという できばえで ふしぎはつのるばかり。
そういえばこの植物園にはサルの顔そっくりのモンキーオーキッドやアースベーダーそっくりのランなども育っています。