抜けるような青空に立つ ちょっとクラシックな街灯で羽根を休めるまっ白なユリカモメ。
サンタモニカかマイアミをおもわせる光景ですが、ここはれっきとした日本。余寒きびしい京都のド真ん中、四条大橋の上なのです。
ユリカモメは冬鳥としてユーラシア大陸から毎年渡ってきて、ほぼ日本全国の河口周辺で冬をすごすのですが、琵琶湖にやってくるユリカモメの中にはるばる比叡山をこえて、連日京都にエサを求めてやってくるユリカモメの姿を見かけるようになったのは1970年代からだそうで、今ではかなりの数のユリカモメがエサを求めて、鴨川を北へ南へと白い羽根をなびかせて行き来しています。
最近ではこの四条大橋あたりがエサが多いようでいつでも見ることができ、京の冬の風物詩としてすっかり定着しています。
今では東京都の鳥としても知られるこのユリカモメがやって来る冬になると、しばしば話題になるのが都鳥。
平安時代の伊勢物語の「東下り」に
「 名にし負はば いざこと問はむ 都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと」
在原業平が詠んだ歌の舞台は東国のすみだ川。
「白き鳥のくちばしと脚の赤きしぎの大きさなる、水の上に遊びつつ魚を遊びつつ魚を喰ふ。京には見えぬ鳥なれば、みな人知らず。渡しもりに問いければ、これなむ「都鳥」というを聞きて・・・」とあるところから、しばしば文学の舞台に登場する都鳥はその描写のコトバから今ではユリカモメであるとの説が有力となっているのです。