そこは本の森の迷路
一歩足をふみ入れると右を向いても左を向いても上からも下からも心ワクワクさせる本が次々と目にとびこんできます。
ここにはおびただしい本が、ただ並んでいるのではなくえらびぬかれ納得のゆく本だけがそれにふさわしい場所をえらんで並べられ一冊一冊が語りかけてくるのです。
この書店はかつてイギリスのカーディアン紙による「世界でもっともすばらしい本屋10店」に日本で唯一えらばれたという京都の本屋さんなのです。
ロンドン、ニューヨークをはじめ世界各国にある本屋さんの中からえらばれた10店とはロンドンで最古王室御用達の書店。本屋さんでただ一軒世界遺産に登録され、あのハリーポッターの世界のモデルにもなったといわれるボルトガルのお店。
800年前に建てられたゴシック様式の教会をそのまま使って本を並べたオランダの本屋さん。
ほとんどはお店そのものがまずすばらしいなかにあって、京都市内とはいえ中心部ではなく住宅街で外から見るとごく普通の本屋さんに見えるこの本屋さんが世界の10店にえらばれたのは、とにもかくにもその選びぬかれた本の魅力なのです。
「本にまつわるあれこれのセレクトショップ」がコンセプト。新刊にこだわることなく店内の全ての本はオーナーの書斎のように一冊一冊手にとり棚の位置を考え並べられています。
まさに本の森というにふさわしいふしぎな秩序がありそこにいるだけで時間を忘れすっとこの本の迷路をさまよいたい気持ちにさせれくれます。
一日の200冊もの新刊本が出版されるなか書店は大型化しコンビニ、オンライン書店の台頭で毎年500軒もの街の本屋さんが消えています。
かつて本屋さんといえばどんな小さな本屋さんであっても心わくわくさせてくれたあのときめきが今日も店内にはただよっています。
手に入れた一冊をかかえ少し足をのばすと高野川。埋めつくす桜並木はもう満開です。