水の都大阪 堂島川と土佐堀川にはさまれた中の島に立つ中之島公会堂。
大正建築を代表するルネッサンス様式の美しい赤レンガと緑の屋根の公会堂は、中之島のシンボルとして親しまれてきました。
1918年の完成以来100年をこえて国際的なアーティストによるオペラやコンサート、キュリー夫人、ガガーリンをはじめとする内外の著名人の講演など大阪を代表する文化芸術の殿堂として今日に至っています。
この中之島公会堂は1918年ひとりの大阪市民 岩本栄之助の寄付によって生まれたのです。
両替商 岩本商店の次男として生まれ、長じて未来の仲買人として財をなし「北浜の風雲児」と呼ばれていた栄之助は株で得た利益を公共のために生かすことに強い関心がありました。
栄之助は「渡米実業団」の一員として訪れたアメリカで富豪の多くが財産や遺産を公共事業や慈善事業に寄附し社会に役立てていることを知り、かねてから自分が考えていたプランを実現するべく帰国すると、大阪にどこにもないホールを建築することを決意、大阪市に100万円を寄附しました。
今のお金で数十億で生れたのが中之島公会堂なのです。
しかし栄之助はその後第一次世界大戦が始まったことによる株価の変動で巨額の損失を出すことになりましたが、公会堂はその二年後に完成、現在国の重要文化財に指定されています。
1999年から耐震工事を含めた大がかりの改修工事によって創建当時の美しい姿によみがえり、今も中之島の美しい景観に欠かせないシンボルとしてひろく市民に愛されているのです。