寒さにじっと耐えながら、春を待つのは私たちだけではありません。
公園の中にはさまざまな姿で春を待っている植物がたくさんあります。
耳をせいいっぱい伸ばして、どんな小さな春の気配をも聞きもらさないために耳を伸ばしつづけている間に、こんなに長い耳になったのはオオカメノキ。
全体をびっしりやわらかなうぶ毛でおおわれているその長い耳は葉芽といい春には葉っぱとなる芽、まあるい部分は花芽。
公園ニュースで “バルタン星人”と紹介されたことから、このユニークな冬芽を求めて何人ものカメラ片手の人が冬枯れの公園の中を歩きまわっています。
冬芽は冬の寒さや乾燥から身を守り、エサが少なくなる冬場に小鳥などの襲撃から守るためにさまざまな工夫をこらしています。
ぬくぬくの毛でびっしりおおわれた芽、硬くつややかなシエルでおおわれた鱗芽、ヤニなどでくるまれた芽、何枚も何枚も皮を着込んだ芽など、それぞれがその植物が編み出したオリジナルのコートを着て、冬に耐えているのです。
植物は秋を迎え気温がさがり地面が乾燥して、地中から水分を吸上げにくくなるため、水が蒸発しやすい葉を落として裸木になり冬芽に春の再生を託すため、冬芽の準備は早いものは6月から始まりほとんどの植物が8月には準備を終えているのです。
冬芽は植物にとって春の再生を託す大切なもの、それだけに早くから準備し寒さや鳥達のエサにされないためなどの工夫などが時にはユーモラスな姿として人気を呼んでいるのです。