いよいよ来週は夏至。
すべての植物が夏を迎え、成長のピークをめざして元気です。
そのような植物の中で夏を待っていたかのように花を咲かせると、すぐ褐色になって枯れたようになるところから夏枯草、かごそうと呼ばれる花があります。
シソ科の植物でウツボグサの仲間です。
古くから冬に芽を出して夏に枯れるところから「生じて冬至る、枯れて夏至る」といわれ、日本の気候のうつり変わりをあらわす暦「七十二候」にもちょうど夏至の初候に「乃東枯」(なつかれくさかるる)が置かれています。
カッコウの鳴く頃に花が咲くために郭公草とも呼ばれるウツボグサはあざやかな紫色のかわいい花が、ウツボと呼ばれる花穂にいくつもくっつくようにして咲きます。
伊吹山でもウツボグサは咲きますが標高1377mの山頂のお花畑では8月になります。
花が咲いた頃、茎ごと刈り取って乾燥させたものが生薬としては夏枯草と呼ばれ利尿、消炎作用があげられています。
夏枯草は中国で最も古い薬物書でもある「神農本草経」にも取り上げられているとても古くからある生薬なのです。
ヨーロッパでの名前は「セルフヒール」ヒールとは「癒す」の意。
自ら癒す、自然治癒力が早くから認められ重宝されてきて、利尿、消炎以外にも止血剤などひろく用いられています。
そのためウツボグサは花言葉も「やさしい癒し」
どこにでもある草なのですが、世界中で古くから人々の健康を守りつづけてきたウツボグサはある意味、実に働きものなのです。