やましろや稲荷の神の御田祭
いざもろともに往きて舞はばや
緑に囲まれた御神田に流れる雅楽の調べの中、茜たすきに菅笠姿の早乙女の手で田植えが進みます。
京都伏見稲荷大社 御田植祭
1300年の歴史を持つ伏見稲荷大社は、近年外国人観光客に最も人気のある神社として知られています。
全国にある3万社ともいわれる稲荷大社の総本宮として、今では伏見稲荷は商売繁盛の神さまとして知られていますが、本来は五穀豊護の神さまなのです。
伏見稲荷大社には4月の種まきにあたる水口播種祭に始まって、6月の御田植祭、秋の収穫の抜穂祭、そしてその新米を神前に供える新嘗祭と年に何度も稲作神事が行われますが、その中でも最も知られているのが6月10日の御田植祭です。
4月の水口播種祭でまかれた種もみから育った早苗は本殿に供え、祭典のあと、境内の御神田に場を移し、雅楽の調べにのせて平安装束の神楽女が舞う御田舞をバックに、早乙女の手で20センチ程の早苗が神田に植えられていきます。
早苗は夏をこえ成長して秋になり、収穫した新米は朝に夕に神前に供えられているのです。
五月晴れとはおもえない真夏をおもわせる強い日ざしの中、粛々と茜たすきの早乙女の手で植えられていく、御田植祭は五穀豊穣を願う大切な神事とあって、コロナ自粛の今年も静か行われたのでした。
京都ではお稲荷さんと親しみをこめて呼ばれる伏見稲荷大社は今、観光客の姿は少なく、何十年ぶりかの静けさですが、地元の人たちの幸せを願うお詣りの姿がたえないのです。
梅雨はどこへやらの晴天つづきですが、来週は雨模様の天気とか。