東大寺のお水取りもまもなく終ります。林の中にさし込む光も日一日明るさと強さを増し、林全体が春の気配につつまれてきました。
植物たちが目を覚ましはじめるなかで、春一番に花をつけるのがマンサク、サンシュユ、トサミズキ、ミツマタなどなど。
これら春のトップバッターはみんな黄色。なぜか見事にみんな黄色の花をつけます。
そういえば春に咲く草花も、福寿草、水仙、フリージア、タンポポとみんな黄色。
こういった花は、いわゆる虫媒花、虫たちによって花粉を運んでもらって受粉します。
虫たちが花を見分けるのは匂いと色ですが、春の今頃活動している昆虫といえばアブやハエの仲間、彼等が好む色というのがどうやら黄色らしいというのが理由とか。
そして春も本格的になってくると次に咲く花のグループは活動しはじめる虫たちの種類も増え蝶なども出てくるために、花はさまざまな色や匂いに特化して特定の虫との結びつきを強めているのです。
花にとって虫たちはいわば大切なお客さま。
長い時間をかけて生まれてきた植物と虫たちの間に生まれた複雑なルールこそが春の花を多彩にして、私たちを楽しませてくれているのです。