夜来の雨があがった庭で白木槿の花が咲きました。
雨もようの空の下、雨のしづくを白い花びらに宿した白木槿の花の咲く一角だけは梅雨の天気とは思えないような実にはれやかな世界がひろがっています。
雨はれて 心すがしくなりにけり
窓より見ゆる 白木槿の花
アララギ派の歌人 斉藤茂吉も詠んでいるように木槿ほど、雨上がりの天気がぴったりくる花はありません。
6月26日という記録的に遅い梅雨入りとなった今年の京都、しかも梅雨入りを迎えてもなかなか梅雨らしい気候とはならず連日30℃をこえる真夏日がつづきました。
ギオンさんが来たら梅雨は明けるといわれる京都ですが、あと数日で祇園祭というところでようやく雨もようの日がここ2〜3日つづいています。
“もう梅雨空けまであとがないのでおテントウさんが帳尻をあわせにかかってきやはったんや”とは祇園祭の鉾立て見物のおばあさんのつぶやきの通り、少しぐづつき気味の空がつづいています。
木槿は朝、花が開いて夕べにしぼむ一日花。
一期一会を大切にするお茶の世界では特に好まれ、冬の椿とともにこの時期の茶花の王ともいわれるほど、一輪の白木槿の花は静寂のお茶室にあってはその美しさは格別なのです。
インドあたりが原産で平安時代に日本に伝えられた木槿は、生薬としては花も茎も根もすべてが使われます。
夏に花はツボミを乾燥して、木槿花、樹皮や根の皮を洗って乾燥すると木槿皮、いずれも解熱、利尿、解毒作用がすぐれているのです。