ふっくらとして下ぶくれ、そのふくらんだ部分がほんのり、実にほんのりとピンク色に染まって、
小判形のまんじゅうの片方を少ししぼって下ぶくれにし、そのふくらんだ部分を淡く淡くピンク色に染めただけ、目もなく鼻も口もないのに生き生きとした表情さえ、うかがえるかのようなのがおかめまんじゅうなのです。
おかめは又の呼び名をおたふく、文楽ではおふく、福をもたらすキャラクターとして長く愛されてきました。ふっくらとして福々しささえ感じさせるこのおかめまんじゅうは、通常節分にだけ数日間売り出されます。
節分を迎え京都のお菓子屋さんでは鬼や福枡と並んでおかめ、おたふくなど節分にちなんだお菓子が売り出されますが、このおかめまんじゅうはとても人気とか。
春を迎えるための節分には、中国では人にわざわいをもたらす鬼を追いはらい新しい春に福を求める行事がありましたが、それが日本に伝えられ宮中では平安時代から鬼やらいの儀式として行われてきました。
室町時代になってくると、春を迎える「立春」がお正月と同じように大切な日とされるようになり、季節の変わる節目である節分に豆をまいて鬼を追い払う行事として豆まきが一般的に行われるようになったのです。
「鬼は外、福は内」のかけ声と共に家の外に内に向けてまかれる豆は「魔」を「滅」するの意味を持つ一方で、おたふくはお多福に通じるところから多くの福を招くと節分に欠かせないキャラクターとして、鬼と並んで欠かせないものとされているのです。
ふっくらとした おかめまんじゅうは私たちに春の近いことを語りかけてもいます。
想定外の寒さがつづく今年の冬も節分を迎え次第に春の足音が、といいたいのですが今年の春はもう少し先かも。