猛暑がつづき各地で最高気温の記録がぬり替えられた今年の夏も、このところ雨の日が増えてきて、日中はともかく朝夕は涼しくなってきました。
夏の終わりを告げるように花をつけているのが芙蓉です。
大きくあざやかな色あいの芙蓉の花はあたかも夏の終りを告げる昼間の花火のように次から次へと花をつけます。
その花は朝咲いてその日にしぼむ一日花。なかには白で咲いて時間とともに淡紅色に色が変わり、あたかもお酒で頬が赤くなるかのようということで酔芙蓉ともよばれる種類もあります。
芙蓉とは「大きなかたち」「大きな花」の意味
古代中国では蓮の花のことを芙蓉と呼んでいました。
かの楊貴妃の美しさをたたえた白居居の「芙蓉如面柳似眉」の芙蓉は蓮の花だったのです。
では中国で、日本でいう芙蓉のことはどう呼んでいたかというと木芙蓉。
中国から日本へ伝えられるなかでいつしか日本では木芙蓉が芙蓉になったのです。
この芙蓉とよく似た花にムクゲがありますが、実は芙蓉もムクゲもそしてなんとあのハイビスカスも同じフヨウ属の仲間なのです。
というのもハイビスカスというのはフヨウ属の学名。
ハワイの州花でもあるハイビスカスの仲間といわれると芙蓉は古くから日本に自生している花に比べどこかエキゾチックなところがあるの納得できるのです。
季語の上では芙蓉は秋ですが、あのあざやかさはやはり夏のフィナーレの花といったほうが似つかわしい気がするのです。