お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2020.08.07

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茄子紺

nasunasu
歴史的に遅い梅雨明けのあと8月に入り一転して強い日ざしをとりもどしたかのように真夏日が続き、野菜畑は夏野菜が強い日ざしに元気をとりもどしています。
畑にはトマト、キュウリ、カボチャ、トウモロコシなど色とりどりの色彩があふれています。
なかでも、いかにも夏の強い日ざしに染まるかのように濃い紫色があざやかなナス。

日本の色というのは、桜色 桃色 萌黄色 藤色 空色 若竹色など、植物や自然にちなんだ色名が多いのですが、なぜか野菜にちなんだ色はほとんど見あたりません。
その中でたったひとつあるのが茄子紺なのです。
ナスは苗の時も紫色、花もうす紫、そして実はあの濃い紫の中にかすかな赤味さえ感じられる独得の濃いナスの色で一生を終えるめずらしい植物です。

日本の色は自然の色、植物の色の名前が多いのは科学染料が生まれる前の色はその原料が自然からとり出された色が主体だったからです。
そのために赤や紫などあざやかな色は禁色と呼ばれて一般の人は使うことを許されませんでした。
その中で唯一許されていたのが植物の藍で染めた藍色。藍はどんな繊維にもよく染まるために日本だけでなく世界中で愛されてきた色ですが、江戸時代から明治にかけて日本では天然染料をさす言葉とされるくらいにポピュラーな色としてさまざまなバリエーションが生まれました。

その藍染の中で最も濃く染めた代表的な色が紺色。その紺色の中でも色の深さによって鉄紺とか紫紺が生まれたなかで、茄子紺と呼ばれる色も誕生したのです。
唯一許された藍色の中で工夫を重ね微妙な色あいを楽しんだ日本の美意識から生まれた色、それが茄子紺なのです。

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