菊水飴は江戸時代からずっと北国街道の名物として多くの旅人に親しまれてきました。
創業350年というお店は、北国街道が敦賀から栃の木峠をこえて近江の入口、湖北きっての宿場、木の本の宿にあります。
大きな屋根で高い天井のお店には江戸時代そのままという竹の皮でつつんだ飴だけが並んでいます。 伝統をうけつぎ、今も変わらぬ製法から生まれる独得の風味は麦芽糖だけでつくられる100%天然素材のやさしい甘さ。
飴をくるくる棒に巻きつけ、そのままなめる味わいかたも昔のまま、江戸時代この飴がいたくお気に入りの殿様もいらしゃったそうですが参勤交代の旅の途中でくるくるしていらっしゃったのでしょうか。
「皮つきの大根おろしと菊水飴、これに勝るものなし」と記されたパンフレットにもある通り、菊水飴には大根と組み合わせるというちょっと意外な食べかたも昔から伝えられています。
飴はのどのイガイガを押え、のどをうるおすという働きもありますが 大根にはビタミンCを豊富に含み、のどの痛みを押え、セキを止め、さらに殺菌作用もあるところから風邪の妙薬とされてきました。 この飴と大根の働きをうまく引き出したのがこの菊水飴というわけ。 かつては大根を拍子木に切って何本かを飴の中にさし込んでおくと大根の水分で飴がとけて表面にうかんでくるのをすくって飲んでいたそうですが、今では皮つきのままの大根おろしに飴をひとすくい入れておくとほどなくして、飴は大根の中にあとかたもなくとけて、少し甘味のある大根おろしになるのがおすすめとか。
風邪によし のどによしの菊水飴の、長い歴史から生まれたくらしの智恵がからだにやさしく、旅人のカラダを守りつづけてきたのです。