きんきんに冷えた氷水に透明の厚さ5ミリはあろうかと思われる厚さに切った葛が盛りつけられています。
夏、涼を食べるお菓子といえば、葛きりですが、葛きりは細くうすくつるんとしてのどごしに涼を味わうものですが、今 目の前にあるのは葛をかむというふしぎな体験ができる食べかた。
そえてある黒みつと、こうばしいきな粉はお好みにあわせて黒みつに入れて。ちょっとふしぎな葛体験です。
葛というのはとても古くから日本人にはなじみのあるもの。秋の七草にうたわれ、皮からとれる繊維は衣類に、そして根は食用にと暮らしに深くかかわってきたのです。
食用としての葛は根からとれるでんぷん。秋が深くなると葛は根にたっぷりのでんぷんを貯えます。山深わけ入って掘り出した葛の根は乾燥して、小さく切ったものは生薬として葛根と呼ばれ漢方の風邪薬である葛根湯に調合されます。
葛根はからだをあたため、発汗作用や鎮静作用があるため、さまざまな漢方薬に調合されるのです。
食べる葛は、乾燥した葛根をさらにくだき、根に含まれるでんぷんを水の中でもみ出し、底に沈んだでんぷんをふるいでこし、何度も何度も水を加えることをくり返すと、あのまっ白でとてもきめの細かい本葛粉ができるのです。葛からとった葛粉を本葛と呼ぶのは、今 市販されている葛粉のほとんどはその成分表に馬鈴薯でんぷんと記されている通り、じゃがいもでできた葛粉がほとんど。栄養価はほとんど変わらないそうですが、葛の根を掘り、手間をかけてつくり出される本葛粉は今ではすっかり高級品。その透明度や粘りやツヤが違うと大切にされているのです。
つめたく冷えた葛の少しもちっとした食感にきな粉のこうばしさと自然の甘味が黒みつとともにからみついた味は葛を味わうのにふさわしい味わいかたでした。
祇園祭も今日は宵々山。17日は本巡行です。
祇園祭から25日の大阪天神祭、京阪神の夏はいよいよ本番。連日 温度計は35℃を中心に上下しています。