お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2019.09.20

ブログ

鍾馗さん

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京都の町家の屋根には、京都の人が親しみをこめて「しょうきさん」と呼ぶ、20センチほどの瓦でつくられた、いかめしいヒゲをたくわえた鍾馗さんがちょこんとよくのっています。
鍾馗さんはその家を災いから守ってくれる神様。
しかし、いかつい姿で災いから家を守る役割のはずが、正面を向いて大きな目でぐっとにらんでいるかと思うと、ちょっと半身であったり、顔をちょっとそらしたり、座っていたりしてなかなかユーモラスな姿の鍾馗さんが多いのです。
鍾馗さんは本来は中国に伝わる神さま。

その昔、玄宗皇帝が病の床にふせっていた時、夢の中でいたずらする鬼を退治してくれた神様で、以来、魔除け火除けの神様とされてきました。

京都にはとても多くのお寺がありますが、そのお寺には邪気が侵入しないように屋根に大きな鬼瓦があげられています。
しかし、その鬼瓦にはね返された邪気がたくさん街をとびかい、それが普通のお家に侵入してくるのを防ぐためにいつしか鬼より強い鍾馗さんを入口のすぐ上の屋根に置くことで、邪気をはらう風習が生まれたのだとか。
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鍾馗さんをあげたお家ではね返された邪気は向かいのお家に向かうために、お向かいのお家も鍾馗さんをあげるようになります。
しかし向かいあったお家の鍾馗さんがにらみあっているのはちょっとということで、鍾馗さんが屋根にいてくれるだけで鬼はよりつかないということにして、ちょっと視線をそらしたり、横を向いたりして、なかには ほほえんでいたりの鍾馗さんが生まれてきたのは京都らしい相手の気持ちを考えてうまく角がたたないように独得の距離を置いたおつきあいの姿からなのです。

京都の街は今どんどん町家からプチホテルに変わって鍾馗さんの姿も少なくなりましたが、鍾馗さんをさがして歩いてひとつ見つけるとすぐお向かいにもある又お向かいにも見つかるのでした。

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