商都 大阪にあって中之島は土佐掘川と堂島川にはさまれた中洲という独得の土地でありながら市庁舎をはじめ図書館や美術館、ホール、バラ園などさまざまな施設が集まっている地域。
その中之島にあって赤レンガ ネオバロック様式の大阪中央公会堂は中之島というより大阪のシンボルとして長く市民に愛されて来ました。
この中央公会堂の誕生は明治から大正にかけて活躍した若き実業家岩本栄之助が、アメリカ視察の旅で、アメリカの都市の公共施設などが、自分の事業で富を得た人の手によって建設されていることに共感し、帰国後30代にして大阪市に現在の価値で50〜100億円にあたる100万円を寄付したことで実現したのでした。
今年100周年を迎えるこの中央公会堂は隣に建つ中央図書館や日本銀行と共に国の重要文化財に指定されている歴史建造物でありながら今も現役。コンサートや集会、結婚式などにひろく利用されているというユニークな建物なのです。
四季を通じて人の姿のたえないこの中之島は、川の中というところから地盤が弱いため、地震対策のためもあって1970年代から全体の再開発が提案されましたが、公会堂の存続を望む声が多く、建物の周囲から地盤を固めるという大がかりな免震工事を経て再び美しい姿でよみがえったのです。
公会堂100年のあゆみは、かのヘレンケラー女史や宇宙飛行士がガーリンなどの講演をはじめ時代時代に世界のさまざまなアーティストの演奏など、歴史的建物ならではの輝かしい歴史を刻んできました。
市民の寄付によって誕生したというその歴史のままに国の重要文化財に指定された今もひろく市民に開かれた公会堂として親しまれているのです。