大寒もあと数日、一向に寒くならない今年の京都 あさっては早や節分です。
吉田神社、壬生寺、蘆山寺。赤鬼 青鬼が舞う節分祭や節分会でにぎやかですが、節分をひかえて錦市場でこんなかわいい鬼に出逢いました。
大根を四角にくり抜いた5センチほどの桝に木の葉かぼちゃ、にんじんの紅梅大根の白梅、そして紫芋の金棒とともに登場する金時にんじんの赤鬼が盛られています。
「かわいいでしょ、そのまま煮たらぜんぶ食べられます」とは八百屋さんのお話。
京の台所として今では日本はおろか世界に知られる京都 錦市場もすっかり国際化。スマホをかざし、食べ歩く人の半分以上は外国からの観光客のみなさんです。
かつて錦市場はそれこそ京の台所として早朝はその日の仕入れに訪れるプロ料理人、お昼前から午後はその日のおばんざいの材料を求めて訪れるお客さん。ほとんどのお客さんとはなじみの人ばかり、だから京の台所という言葉がぴったりだったのです。
京料理とも呼ばれる日本料理の歴史は12世紀から13世紀に始まったとされています。
四季を大切にし、旬の食材の味を生かし、器にも、盛りつけにも細部にまで心をくばり、「目で見て舌で味わう」といわれる美しさをかねそなえた京料理は生まれてきたのです。
そしてその長い歴史の中でさまざまな工夫が重ねられたなかに細工野菜があります。
盛りつけをよりあざやかに引きたてるために野菜をさまざまなものに見立ててカットした細工野菜
にんじんや大根を使ったねじり梅、なすの茶筅切り、松笠くわい、木の葉がぼちゃなど
箸でそのままつめるほどの大きさの野菜があざやかな包丁のあともそのままにリアルな世界を生み出した細工野菜。
かつて錦の八百屋さんでは一般のお客さまにもさまざまにカットされた細工野菜を売っており、年末ともなるとおせちづくりのためにとぶように売れたそうですが、今ではお正月のおせちも料理屋さんのカタログからの取り寄せが増えたようで錦の八百屋さんの細工野菜も行き先は料理屋さんがほとんどとか。
鬼の桝は移り行く京の台所のシンボルともいえるのです。