手を動かすたびに刻々と変化する光と色が心をとらえてはなさない万華鏡。
子供の時おもちゃの万華鏡にワクワクした体験、小学校の自由研究で自分の手でつくった万華鏡をそっとのぞいた時の心のトキメキなど、だれしもがそのあざやかな光の世界の記憶がある万華鏡。
万華鏡は、スコットランドの物理学者デヴィッド・ブリュースター博士によって今から200年ほど前に発明されました。
灯台の灯りをより遠くまで届けるために鏡の組み合わせの研究の中で、発見された鏡の特性をヒントに数枚のガラスを角度をつけて組合せ、これを筒の中に入れてカレイドスコープと名づけて発表されたのです。
カレイドスコープはあっという間に世界に広がり、日本にも江戸時代に伝えられ、その原理がシンプルなこともあってあっという間にあちこちで作られるようになりました。
そして明治に入ると、子供のおもちゃとして親しまれるようになったのです。
万華鏡は1980年代になってアメリカでアートとして大きく変貌しました。
その動きは世界的にひろがり万華鏡アート作家が生まれ、日本人の作家で万華鏡の世界大会でグランプリを獲得した作家も誕生しました。そして、アートとなった万華鏡を展示する万華鏡ミュージアムも生まれています。
京都万華鏡ミュージアムは2004年統廃合で廃校になった中学校の校舎を利用して生まれた「子ども相談センター」の展示施設としてオープンしました。
数百点にのぼる万華鏡の収蔵品や、中外の作家による企画展などが開かれています。
ここでは展示している万華鏡は自分の手でさわって画面を動かし、作品の世界を楽しむことができるので大人だけでなく子どもたちも大喜びです。
数枚の鏡とオブジェクトと呼ばれる万華鏡の模様のもとになるビーズやスパンコールなど光を通し、反射するオブジェクトを入れたケース、そしてそれらをおさめるボディだけで出来ているきわめてシンプルな構造でありながら、その中でつくり出される画像は二度とあらわれることがないという無限の世界が楽しめる万華鏡。
カレイドスコープが発表された時「偉大な哲学的玩具」と呼ばれた万華鏡の魅力は200年をこえて今も全く色あせないのです。