かつて日本の春を彩る花といえば菜の花と並んでレンゲの花でした。
レンゲは古く中国から緑肥、飼料植物として渡来、日本の春の花として親しまれてきました。
レンゲの漢字は蓮華、その花のカタチが連の花に似ているところから蓮華草、そして紫雲英とも記されています。英は中国では花のこと。
紫雲英とは漢名でレンゲの花が一面に咲いている様子を遠くから見ると低くたなびく紫の雲のように見えるということからこう呼ばれているほど、かつては日本の各地を見わたすかぎり赤紫色に染めていたのです。
レンゲはマメ科の植物ですが、マメ科の植物には土の中で窒素を固定する働きがあり、田んぼの土質を改良してくれるために日本の米づくりには欠かせない植物だったのです。
そしてレンゲが花をつける頃はちょうど田造りの時期。
花の咲いているまま田んぼにスキ込むことで緑肥としても大きい役割を果たしてきたのです。
しかし近年米づくりには窒素肥料が使われるようになったためレンゲの出番は少なくなってきたのです。
米づくりの肥料となり、家畜の飼料ともなってきたレンゲは中国では生薬として古くから使われてきました。
そしてレンゲといえば蜂蜜の王様
春の訪れとともに日本列島を北上するレンゲの開花にあわせて大量の蜜蜂とともに北上の旅をつづける養蜂、家の人の姿は春の風物語とされてきたのです。
化学肥料の普及で紫色の雲が低くたなびくかのようといわれたレンゲの花は今では田んぼのアゼや空地でしか目にすることはなくなりましたが、やはり日本の春を彩る花としては欠かせない花なのです。