お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2017.08.04

ブログ

「涼し」は夏の季語

suzusi
茶聖と呼ばれた千利休は「夏はいと涼しきように」と夏のもてなしの心を語っています。
エアコンが自動的に快適をつくり出す今と違って夏にいと涼しきようには智恵を働かせ、相手の気持ちに想いをはせ、労をいとわず工夫を重ねるその想いが相手に届くことこそ「涼し」と伝えているのです。

お茶ととも発達した京菓子の世界でも夏はいかに「涼し」を表現するかに趣向をこらしてきました。
見た目に涼しく、口にするとひかえ目な甘さ、そして口あたりのよさ、冷たさを演出するために夏菓子の主役は吉野葛 寒天 琥珀糖 錦玉・・・いずれも透明感と光のあたり具合によって表情を変えるのも夏菓子なのです。

ところで「涼し」という言葉は季語では夏の季語、 冬は「寒し」春「暖か」夏「暑し」とくると秋「涼し」となりそうですが「涼し」は夏の季語、
じっとしていても汗が吹き出す炎熱の夏の中で一瞬の心地良さを「涼し」と心が一番望んでいる時を季語では大切にしているのです。

すっぽりと山に囲まれた盆地の京の暑さは、底冷えと呼ばれる冬の冷え込みとともに全国的に知られてきたきびしさです。
その苛酷な気象条件の中で、千年をこえて歴史を重ねてきた京都の暮らしには、そのきびしさをしのぐ、さまざまな工夫がくらしの知恵として伝えられています。
街中の商家のれんも夏は白や涼しげな色でさらっとした麻などの夏のれんに変わり、街全体が少しでも暑さの印象をやわらげる工夫がいきとどいているのです。

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