沖縄では、よもぎは薬味であり野菜なのです。
丼からはみ出さんばかりに盛られた「フーチバー」。
「フーチバー」は沖縄では「よもぎ」のこと。なかでも沖縄そばに「よもぎ」は欠かせないのです。
━「フーチバー」とは
病気を意味する「フーチ」と、葉を意味する「バー」をあわせた呼び名を「フーチバー」といいます。
栄養素豊富な「フーチバー」は「病気を治す薬草」として古くから食べられてきました。
「フーチバー」は「よもぎ」の種類としては、「ニシヨモギ」。西日本から沖縄にまで分布していますが、沖縄では野菜として売られています。
━「フーチバー」は野菜
沖縄では「フーチバー」に限らず食べられる野草はすべてカラダに良いものとして積極的に食べる習慣があります。
なかでも「フーチバー」は一般的な「よもぎ」に比べ、さわやかな香りと苦味が少なく、生食もできるので、家庭料理には欠かせない野菜なのです。
━「フーチバー」の味わい方
「フーチバー」の若葉を入れた炊き込みご飯「フーチバージュシー」に、また沖縄を代表する「ヒージャー汁(ヤギ汁)」の臭みを押えるために薬味としても使われます。
そして沖縄そばのお店では「フーチバー」を好きなだけトッピングできるお店もあります。 甘辛く味付けした豚の三枚肉がのった「沖縄そば」には「フーチバー」をたっぷり。 まず熱い「沖縄そば」にのせた「フーチバー」の香りを、そして食べすすめるに従って、くたっと味のしみた「フーチバー」を楽しむ、それが「フーチバー」の味わい方。
━「フーチバー」の文化的背景
沖縄では家庭で代々受け継がれてきた「フーチバー」を使った伝統的なレシピもあり、また「フーチバー」が食卓に登場することは健康を願う家族の愛情の表れともいえるほど沖縄では欠かせない薬味であり、野菜、そして薬草でもあるのが「フーチバー」なのです。
━沖縄は、薬草に宝庫
沖縄には、「フーチバー」のほかにも、沖縄三大野草とよばれるクミスクチン(猫のひげ)、ウコン(ターメリック)、グアバなど多くの野草が自生しており、健康や長寿の秘訣として親しまれています。
沖縄の市場では手軽に野草を手に入れることができ、今は食べるだけでなく、お茶やスキンケアにも活用され、野草文化が根づいています。