
夏の風物詩といえば、夜空いっぱいに咲く花火。色鮮やかな光と大きな音、夏の思い出として心に残る方も多いのではないでしょうか。
実は花火には、長い歴史や日本ならではの文化、そして職人の高度な技術が詰まっています。今年の花火大会は、そんな豆知識を知ってから眺めると、いつもとは違った楽しみ方ができるかもしれません。
━花火の歴史 はじまりは中国
花火のルーツは、約1,000年以上前の中国にあるといわれています。
日本には16世紀頃に火薬とともに伝わりました。当初、火薬は鉄砲や大砲、のろしなどに利用されていましたが、その後、観賞用として発展し、美しい花火文化が育まれていきました。
━日本の花火は江戸時代に登場
日本で花火が大きく発展したのは江戸時代です。職人たちは試行錯誤を重ね、色や形、開き方などを工夫しながら、現在のような芸術性の高い花火を作り上げました。
また、花火は俳句では「夏」の季語でもあります。夜空に咲いては消える一瞬の美しさは、日本人の四季を愛でる心にも重なり、古くから夏を象徴する風物詩として親しまれてきたのです。
━花火大会のはじまり
日本の花火大会の始まりは、1733年に江戸・大川(現在の隅田川)で行われた「両国川開き」の花火とされています。
前年に起こった享保の大ききんや疫病で亡くなった人々を慰霊し、悪疫退散を願って、八代将軍・徳川吉宗の命により花火が打ち上げられたことが始まりです。その後、人々に親しまれる催しとなり、全国各地へ広がっていきました。現在では夏の一大イベントとして、多くの地域で花火大会が開催されています。
貞房『東都両国夕凉之図』,山城屋甚兵衛. 国立国会図書館デジタルコレクション
━「たまや〜!」「かぎや〜!」の由来
花火大会で聞こえる「たまや〜!」「かぎや〜!」という掛け声。実はこれは、江戸時代に活躍した花火師の屋号に由来しています。
「鍵屋」は江戸で最も古い花火師で、その後、のれん分けによって「玉屋」が誕生しました。両者は技を競い合い、多くの人々を魅了したことから、観客が応援の気持ちを込めて屋号を呼ぶようになったといわれています。現在でも花火大会ならではの風情ある掛け声として受け継がれています。
━丸い花火になる理由と、美しい色の秘密
夜空いっぱいにきれいな丸い花火が咲くのは、花火玉の中に「星」と呼ばれる火薬が球状に均等に並べられているためです。打ち上げられると、星が中心から四方八方へ同じように飛び散り、美しい円を描きます。
また、赤・青・緑・黄色など色鮮やかな光は、火薬に含まれる金属の成分によって生み出されています。例えば、赤はストロンチウム、緑はバリウム、青は銅など、それぞれ異なる金属が夜空を美しく彩ります。
さらに、花火にはさまざまな種類があります。夜空に大きく丸く開く「菊」や「牡丹」、金色の光が滝のように流れる「冠菊(かむろぎく)」、ハートや笑顔などの形を描く「型物(かたもの)」など、花火師たちの高い技術によって、多彩な花火が生み出されています。
━日本は世界有数の花火大国
日本の花火は、色の美しさや形の正確さ、繊細な表現力が世界でも高く評価されています。一つひとつの花火に職人の技術と経験が込められ、まるで夜空に大輪の花を咲かせる芸術作品のようです。
今年の夏は、夜空を見上げながら花火の歴史や文化、そして一発一発に込められた職人の技に触れてみませんか。きっと、いつもの花火がより美しく、特別なものに感じられることでしょう。




