お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2023.07.21

ブログ

カラスウリ


この花はカラスウリの花。
普段はあまり目にすることはありません。
カラスウリといえば晩秋。次々と樹々が紅葉した葉を落とすなかで木の枝などにつるを巻きつけて濃いオレンジ色の小さなタマゴ形の実をつけることで知られています。
カラスウリといえばほとんどの人がこの実を思い浮かべますが、カラスウリの花もなかなか印象的なのです。
7月から8月にかけてなんとも不思議な花をつけるカラスウリ。
白い花弁の先から湧き出すかのように白い糸をたくさん伸ばします。
このカラスウリの花があまり知られていないのは、夕方から花のツボミがふくらみはじめ、
夜中に満開となって朝にはしぼむ一日花だからです。
「夜にどうしてこんな不思議な美しさを持った花を咲かせるのか?」というと、カラスウリは虫媒花(ちゅうばいか)だから。
花粉を運んでくれる夜行性の大型の蛾を呼び寄せるために精一杯、装いをこらしているのです

今はどこでも見られるカラスウリですが、実は中国原産。生薬として、根は栝楼根(カロコン)と呼ばれ解熱・鎮痛作用があります
さらに、実も種も皮もそれぞれ生薬としての名前を持ち、それぞれの効果があるのだとか。

そしてこのカラスウリにはまだまだかくし技があります。
根から取れる澱粉の粉末は天瓜粉(てんかふん)と呼ばれ、そのやさしい香りとサラサラ感が人気で江戸時代から重宝され、夏の季語にもあげられるほど。
高温多湿の日本の夏には欠かせなかったのです。
今、天瓜粉は100%植物由来とあって、注目を集めています。

日が昇る頃にはその姿を消すカラスウリの花。その不思議な美しさは一度早起きしてみる価値があるようです。

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