焼きあづきと名づけられた京菓子。
百年という時間が日常の会話にもしばしば登場する歴史と伝統の京菓子の中で、まだ生まれたばかりの新顔です。
たっぷりまぶされた和三盆を通して見ると少し素朴でゴツゴツしていますが、口に含むとサクッとした食感の中にあづきの風味たっぷりのおいしさ。今では年間を通しての人気商品なのです。
焼きあづきの誕生はデパートからエコをテーマにしたイベントにエコを意識した京菓子を制作して欲しいとのオーダーに始まりました。
エコといわれてもとあれこれ思案の末、日々の製造工程を見直すなかで、あづきを炊いて飴にする時、こしあんの場合 しぼった皮を捨てていることに気づき、これを生かしてはとのアイデアから、あづきの香りも豊かなその皮を乾燥してぼうろの生地にたっぷりねり込み焼きあげて完成したのが焼きあづきなのです。
見た目のゴツゴツ感はあづきの皮のせい、たっぷりの植物繊維を含んだサクサク感とあづきの香りが新鮮なエコ京菓子となったのです。
焼きあづきはデパートのフェアでは大好評で、当初はそのフェアの期間限定の商品でしたが、その人気から今では堂々と通年商品として、お店の顔のひとつになっているのです。
あづきは和菓子に欠かせない食材、そのあづきを煮た飴は和菓子のいのちともいわれるほどの大切さなのですが、飴をおいしく煮るのは長い時間と技術が必要とあって、早くから飴を専門に煮るお店があり、お店お店の注文通りに飴を煮てくれるため、今では多くの和菓子屋さんが利用しているのが現実です。
しかし、京都の老舗のお店では今も毎日飴を炊いている店も多いのです。京都では飴は煮るではなく炊くといいます。伝統と技術を大切にした菓子づくりの中からこそ生まれた焼きあづきは老舗への自然からのプレゼントでもあったのです。