400万年という途方もない歴史を持つ
日本最古の湖 琵琶湖
多くの人々の生活を支える近畿の水ガメであり、豊富な魚介をはじめ、湖の恵みをもたらす琵琶湖は、いつの時代にも母なる湖でした。
しかし今から46年前、1977年5月、淡水赤潮が発生し、琵琶湖は赤く染まりました。水中に含まれる窒素やリンなどの栄養塩類がさまざまな理由で増え、「富栄養化」が進むと植物プランクトンが急増して赤潮やアオコが発生したのです。
この赤潮により、琵琶湖はコイやフナなど魚介類の大量死を招き、悪臭などが発生し、環境へ大きな影響を与えました。
この琵琶湖には野洲川をはじめ、114もの一級河川が流れ込んでいます。この豊富な水資源と立地の良さで工場進出と宅地化が進み、工場排水や生活排水が大量に琵琶湖に流れ込んだことが赤潮発生につながったのです。この赤潮の原因の一つとしてあげられたのが、合成洗剤に含まれる「リン」でした。
私たちの琵琶湖を取り戻すためにと立ち上がったのは、琵琶湖を愛する地元の人たち。合成洗剤の使用をやめて粉石けんを使おうという「石けん運動」がスタートしたのです。
暮らしの中から盛りあがった運動は、全国にさきがけて、窒素やリンの排出規制を定めた「琵琶湖条例」の制定につながり、湖国あげての取組みが続けられました。
琵琶湖は今、45種類の魚、50種類の貝の在来種が生息し、冬には10万羽の水鳥がエサを求め、休息に訪れます。琵琶湖を愛する一人ひとりの思いと努力によって、母なる湖は復活しました。
大規模赤潮発生から今年で46年。 今もこの5月には、46年前を教訓に、湖国の暮らしを見つめ直すためのイベントがあちこちで行われます。
これからも、琵琶湖は美しい、母なる湖として守られ、受け継がれていくでしょう。