お灸を知る・使うせんねん灸 moxaブログ

2016.12.16

ブログ

ビワの花

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冬空にビワの花がいい香りをただよわせキャメル色のふかふかのマフラーの中で咲いています。

来週は冬至とあって、急に風がつめたくなり、いよいよ冬本番。
冬枯れでほとんどの植物が葉を落としたり休眠して活動を停止しているなかで、ビワの花は今の季節に花をつける数少ない植物なのです。

どうして、ビワが花粉を運んでくれる虫も少ない今、花をつけるのかはわかりませんが、そのかわり訪れてくれる虫や小鳥のために特別に甘い蜜を花にいっぱい貯えたり、花の咲く期間も約2ヶ月近く次々と咲くようになど、しっかり工夫をこらしています。

ほとんどの花の開く春から夏なら、花粉の運び手もたくさんいて、そんな工夫はいりませんが、そのかわり花をつける植物も数知れずということでビワは大変な競争をさけて、この寒い季節にとびっきりのぬくぬくのマフラーにつつまれて今、花をつけているのです。
そして、冬をこえ春をこえ初夏の頃、半年がかりで実は熟成します。

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ビワは生薬として枇杷葉と呼ばれ、葉が利用されます。
初夏、20センチをこえるほどの大きな葉を水洗いして葉の裏側をびっしりおおう柔毛を取って乾燥して用います。
江戸時代には、ビワの葉を肉桂、甘草などの生薬と一緒に煎じたものを枇杷葉湯と呼んで夏の暑気払いに大いに人気があったそうで、川柳にも
   枇杷と桃 葉ばかりながら 暑気払い
とあるようにビワも桃も実より葉のほうが大切にされてきたのです。

その葉にさまざまな薬効を秘めたビワは仏教と共に中国から伝えられましたが、果物というよりその薬効のためでした。
二枚の葉を火であぶり、こすり合わせて、葉のエキスをにじみ出させ、それを皮膚にあてる療法がひろく行なわれていたため、かつてはお寺には必ずビワの木があったとか。

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