日本列島を錦に染める紅葉の季節がやってきました。
日本の紅葉は10月の北海道に始まって、秋の深まりとともに日本列島を南下しますが、異常気象つづきの昨今では12月中旬まで、日本各地をにぎわせます。
紅葉といえば楓(かえで)ですが、桜紅葉(さくらもみじ)、柿紅葉(かきもみじ)などの呼び名もある通り、さまざまな落葉樹が次々と紅葉します。落葉樹にとって紅葉は散る前のフィナーレを飾るイベントでもあるような気がします。
落葉樹はきびしい冬の寒さから身を守るために冬を迎える前にその葉を落とします。
秋の深まりとともに木の枝と葉の根元の間に「離層」と呼ばれるスポンジ状の層をつくり、葉と幹との間を遮断します。
その結果、葉の中で光合成によってつくられた糖分が葉の中にたまり、そこに日光があたると化学反応によって葉は紅葉するのです。
紅葉は日照時間や、冷え込みなど自然の営みによって生まれるために、年によってその紅葉の具合は変わります。一般的には最低気温が8℃以下の日がつづくと紅葉は一気に進むためにきれいな紅葉になるといわれます。そしてその紅葉が終わると樹々はすっかり葉を落とし冬眠に入ります。そして、春から始まった一年の活動によるダメージを回復しながら来年の春にそなえるのです。
人も自然の一部とする東洋医学では、自然と調和して生きることの大切さを説いています。樹々が葉を落として、負担を少なくして、春に備えるように、ヒトにとっても冬は養生につとめエネルギーを貯え、来るべき春に備えることをすすめているのです。
「陰極めれば 陽となる」冬養生のセオリーです。