奈良盆地の西に位置することから古くから日の沈む山としてあがめられてきた二条山
その二条山の東麓に位置する二条山 当麻寺 その創建は古く1400年前と伝えられています。
現存する日本最古の塑像の弥勒仏をはじめ、日本最古の梵鐘など数多くの国宝重要文化財を有しています。
そのひとつ国宝の本堂は、天平時代の様式を色濃く残しそのまま平安時代の末には外陣が拡張され今日の姿になっています。
そしてこの本堂は本尊として当麻曼荼羅が、国宝の厨子に収められ、須弥檀の上に安置されているところから曼荼羅堂とも呼ばれ、曼荼羅信仰の中心となっているのです。
当麻曼荼羅は奈良時代中期、中将姫によってつづれ織りで織りあげられた曼荼羅のこと。
中将姫は17才で中将法如として仏門に入り仏の導きで、諸仏の悟りの境地を描いた絵図である曼荼羅を織ることを決意。大量の蓮の茎を集め蓮糸を紡ぎ、これを井戸にひたして五色に染め、それで一丈五尺 約4メートル四方の蓮糸曼荼羅を織り上げ、やがて姫は阿弥陀如来をはじめとする二十五菩薩に迎えられて西方極楽浄土へと旅立っていったのです。
この中将姫伝説の足跡が境内のあちこちに今も残る当麻寺。
平安時代の始めには40房もの僧房があったとされる名刹でしたが、弘仁年間 弘法大師によって真言密教を伝える真言宗の霊場となり、さらに鎌倉時代には浄土宗の霊場ともなり現在に至るまで真言浄土二宗を併立という珍らしいかたちで今日に至っているのです。
境内にゆったりと点在する伽藍配置のあちこちに今も天平の大らかな空気が流れている当麻寺は今 初夏を迎えています。