♪夏も近づく八十八夜♪と唄われてきた。
八十八夜は、暦の上では「雑節」と呼ばれてきました。
太陽の運行をもとにした暦は、実際の季節の動きとの間にズレが生まれるために、古代中国では農作業や暮らしのために一年を春夏秋冬に分け、さらにそれを6つずつに分けた「二十四節気」が生まれました。
6世紀頃に日本に伝えられた「ニ十四節気」は、日本の農作業のための気候によりぴったり合わせるために、さらに設けられたのが「雑節」
節分、彼岸、八十八夜、入梅、半夏生、土用、二百十日などが追加されたのです。
八十八夜は立春から数えて、八十八日目。
この頃になると「八十八夜の別れ霜」のコトバもあるとおり、遅霜の心配もなくなり、安心して種まきをしても大丈夫という時を知らせるコトバとして、とても役立ってきたのです。
八十八夜の唄の歌詞は、♪野にも山にも若葉がしげる。あれに見えるは茶摘みじゃないか♪とつづきます
この歌の題名が、「茶摘み」とあるように茶摘みもはじまります。
毎年この日の夜のニュースには、姉さんかぶり、紺絣の着物、赤いたすきの女性が茶摘みをするシーンが登場して、5月の始まりを告げる風物詩となっています。
この頃のお茶は「一芯ニ葉」まっすぐ立ったまだ葉の開かない若芽と、二枚の開いたばかりの若葉、まさに新茶です。
光合成によって生まれるお茶の渋味成分であるカテキンも、新芽はまだ紫外線をあまりあびていないために渋味がなく、甘みがあふれ、味わい深く、玉露や煎茶の最高級品のお茶となるのです。
そして季節は、端午の節句を境に、スポーツに野外活動に最適な初夏を迎えます。