いよいよゴールデンウィークが始まったいうのに、今年は緊急事態宣言で外出自粛とままならぬことばかりです。しかもゴールデンウィークの初日は、激しい雨でした。
来週は、暦の上では早や立夏、いよいよ夏を迎えるとあって植物は今まさに成長期。
たっぷりの水を必要とします。それに応えるように、この頃になるとあたたかな雨がやさしく新芽 若葉をつつみ込むように降りつづくのです。
この頃の雨の季語、それが「卯の花くたし」
ちょうど花をつける卯の花を腐らせるように降りつづく雨のこと。
白く小さな花がむらがって咲く卯の花はまさに、今の花。春の彩り豊かな花と違って、夏の花はみかんの花、泰山木、ユリ、くちなしなど白い花が増えてきますが、その先頭をきって咲くのが卯の花なのです。
卯の花は古くからウツギとも呼ばれてきました。漢字で書くと「空木」その茎の中が空洞だからとか、旧暦の「卯月の花」からとかの説があります。
樹々の緑が日一日濃くなっていくなかで、白く小さな花がかたまって咲くウツギの花の白さは、古くからとても印象的だったようで、ウツギは雪や月、雲などにたとえられてきました。
京都で豆腐のおからが卯の花と呼ばれてきたのもおからの白さを卯の花に見立ててのことからなのです。
そして、日本列島に夏の訪れを知らせるウツギは農作業とも深くかかわりがあり、ウツギの花が山にたくさん咲く年は豊作とされ、歓迎される花だったのです。
古来、稲作に欠かせない太陽は「お天道様」とあがめられてきましたが、初夏 長い竹竿の先にツツジ シャクナゲ など、初夏の花をくくりつけて飾り、お天道様に豊作を願って立てる「天道花」にも豊作のしるし ウツギは欠かせない花なのです。